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人気高級旅館をさらに改善するには 従業員の意識を変えたチームビルディング(前編)

 

 

こんにちは、NBSホテルマネジメントです。

私たちの仕事をわかりやすくご紹介する新企画「宿泊業界ノウハウの教科書」、4回目は人気高級旅館の経営改善にフォーカス!スタッフのモチベーションをあげ、経費を削減することで利益率が大幅アップした事例を、マーケティングの中尾亨に語ってもらいました。

 

NBSホテルズ&リゾーツ 運営本部長

中尾なかお りょう

教育業界や出版デザイン業界、ホテル業界での新規事業の立ち上げやマーケティングなどを経てNBSホテルマネジメントに入社。現場に入って「お客様も会社もスタッフも幸せになる」経営サポートに取り組んでいる。

 

 

人気の高級旅館がまさかの赤字 
かかえる課題とは

 

-今回ご紹介いたただく旅館について教えてください

 

中尾 今回紹介する施設様は、有名温泉地にある高級温泉旅館です。客室数は約20室で、OTAで検索するとその温泉地のなかでトップレベルの評価を受ける施設様でした。平均単価も高水準でしたが、慢性的な赤字が続いていたんです。

 

NBSが2019年末に運営を委託された当時は、従業員不足で提供客室数を減らしており、稼働率が低迷していました。組織の環境が悪く、従業員同士のコミュニケーションがうまくとれていなかったため従業員が居つかず、退職が続くこともありました。

 

そんな組織だったので、若手を中心に頑張ってはいるものの、チームとしてはまとまってなかったです。料理もサービスもトップレベルで従業員1人1人の能力は高いのに、職場の空気はぎすぎすしていました。同じ部屋にいるのに連絡事項がメッセージアプリ経由で来ることがあったほどです。もともと人気はある施設様だったので「かみ合えば化ける」と感じました。

 

NBSでは施設様を運営サポートする場合、支配人を現地に送り込んで運営や経営改善をすることがあります。私も現場に入り旅館の仕事を実際にしながら、経営改善に取り組んでいきました。最初は運営マネージャーとして入り、2021年から2023年春まで支配人を務めました。現在は後任のスタッフが担当していますが、今でもマーケティングやチームビルディングなどでサポートを続けています。

 

 

 

チームビルディングで
目標を設定

 

-組織の空気が悪かったということですが、どのように改革していったのでしょうか

 

中尾 まずは従業員がうまくコミュニケーションをとれるよう、間に入り、現場の雰囲気をよくしようと取り組みました。また、目指すものは共有しておくべきだと思ったので、チームビルディングを実施し、ビジョンを共有するためのミーティングを開催しました。

 

従業員は若い女性が多かったのですが、自分が働いている旅館の客室単価が1室10万円弱で、温泉地のなかでもトップレベルの評判をもつということを知らない状態だったんです。このため自分たちの仕事に誇りを持たず、上に言われたことをただやってるだけでした。

 

従業員に「自分達のやってることはこんなにすごい」と気付いて、仕事に誇りを持ってほしかった。このため、ミーティングでは「10年後も勝てる旅館」をめざし、共通の目標作りをおこないました。

 

 

-ミーティングではどんなことに取り組みましたか

 

中尾 まずは全従業員に「ライバルとなる旅館をひとつ挙げて調べてきてほしい」と宿題を出しました。そしてミーティングでは各人が調べたことを発表し、その旅館の良い部分を書き出し、グルーピングして整理したんです。

 

従業員が選んだ旅館はみな違いましたが、グルーピングにより、「良い旅館とはどのような旅館か」という共通認識が固まってきたところで「良い宿の条件」をまとめました。それが「お客様を感動させる『魅せ方』ができている」「お客様が欲しいものが当たり前にある」の2つでした。

 

続いて自分たちの旅館の経営状況や評価などを知ってもらい、宿泊業界のトレンドなどを皆で学んだうえで「良い宿の条件」をまとめました。今までやってきたことを踏まえて「旅館をよくするTOP3」をまとめました。

 

 

-どんなアイデアが出たのでしょうか

 

中尾 「アンケート回収率を高めて分析しサービスを見直す」「接客などのサービスコンテストの実施」「施設整備の改修」の3つですね。

 

旅館は日々の仕事に追われがちで、決めたことを実現するのはなかなか難しいのが現実です。そのため決まったことを実際に行い成功させるのがNBSの仕事だと思い、成功体験を積み重ねていくことを大切にしつつ、数年にわたって実現させました。

 

 

コンテストやアンケートで
従業員の「やる気」を引き出す

 

-決めたことをどのように実現していったのか教えてください

 

中尾 まず、接客コンテストをロールプレイング形式で実施しました。ロールプレイングの動画を撮影し、評価しあい、足りない部分はコーチングなどで学んでスキルアップをはかるのですが、これが接客レベルの向上にかなり効果的でした。

 

アンケートについては、今までは客室案内の裏側に質問を書いて、紙を部屋に置いているだけだったので、回答率は20%程度でした。

 

しかし、ミーティング後はアンケート用紙の見せ方を変えました。お客様の夕食中に布団を引くなどで従業員が客室に入る際、目につくところにアンケート用紙を置くようにしました。それだけで回答率が70%まであがりました。

 

しかも、Webでの口コミには個人名を書きにくいですが、紙のアンケートだと従業員の個人名が出やすいんです。これが従業員のモチベーションアップにつながりました。

 

誰の名前が何回書かれたか、というのも可視化しました。すると、若手がいきいきしてきて良いサービスをしようとする。それを見たお客様が喜ぶんですよね。ベテランの従業員はその様子を見て黒子的な役割で若手を支えるように動き、良い循環が生まれました。結果、口コミでの評価が上がり稼働率に直結しました。人の成長が業績につながる。それが心から実感でき、すごく印象的でした。

 

 

次回はサービス・施設改善の取り組みをご紹介します。

 

(後編)に続く>>>

「宿泊業界」ノウハウの教科書

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